小児眼科CHILD
お子さまの目のお悩みは
こうさか眼科へ
お気軽にご相談ください。
- 子どもの目が内側や外側に
ずれているように感じる - 物がダブって見えると言われた
- 段差によくつまずく
- 運動、特に球技が苦手
- 3Dが見えない、
物を立体的に見るのが苦手 - 眼鏡をかけて視力を矯正しても、
視力が上がらない
このような症状は、斜視や弱視の可能性があります。斜視や弱視は子どもの健全な視機能の保護・育成を阻害します。
当院では、原因特定のためにさまざまな検査を行い、お子さまの原因や症状に合わせた個別トレーニングプログラムで改善をはかります。
斜視と弱視
斜視とは?
ものを見るとき、片目は正面を向いていても、もう片方の目が違う方向を向いてしまう状態を「斜視」といいます。斜視の状態は、常に斜視がある「恒常性斜視」、時々斜視になる「間歇性斜視」、斜視眼が左右交代する「交代性斜視」の3つに分類されます。
また、生まれた直後から斜視が明らかに存在する場合と、成長してから目立ってくる場合があります。
斜視の種類
- 内斜視
片目が正常な位置にあるとき、もう片方の目が内側に向いてしまう状態
- 外斜視
片目が正常な位置にあるとき、もう片方の目が外側に向いてしまう状態
- 上斜視
片目が正常な位置にあるとき、もう片方の目が上側に向いてしまう状態
- 下斜視
片目が正常な位置にあるとき、もう片方の目が下側に向いてしまう状態
斜視の原因
斜視の原因には、目を動かす筋肉や神経の異常、遠視、目の病気、脳の病気、全身の病気に伴うものなどがあります。
多くの場合は、目を動かす筋肉などのバランスが崩れて出現するものや遠視によるものです。さまざまな検査をして両目の状態を把握して、症状に合わせた個別トレーニングプログラムで改善を目指します。
弱視とは?
弱視とは、眼鏡をかけても視力が上がらない状態、視力を矯正しても改善しない状態をいいます。弱視の原因のひとつに斜視があり、物が二重に見えたり、ズレた側の目で見ると、物がぼやけて見えたりします。斜視があるとお子さまが無意識にその目を使わなくなり、視力の発達が妨げられる場合があります。
最近では、スマホや携帯ゲーム機などの普及で、矯正視力が出にくくなるケースも多く見られるほか、姿勢が悪くてピントの調節機能に過度の負担がかかることも指摘されています。
トレーニング内容
当院では、両眼視の状態を他覚的・自覚的にチェックを行い、斜視や弱視の状態を確認します。
アイストレッチ、パッチング、ブロックストリングスなど、機器を使ったトレーニングで症状を改善することが目標です。基本は、ご自宅でトレーニングをしていただき、1ヶ月に1回程度の来院によるチェックで進捗状況の確認と、必要があればトレーニング内容の変更を行います。
トレーニング例
- 眼球運動、スキアスコープ、
カバーテストなど - 視力検査、カバーテスト(PHY)、
ポラテスト、赤レンズテストなど - フルパッチ、
トランスルーセント(半透明)パッチ
※斜視や弱視の程度により、トレーニングでは改善できない場合は手術をご提案する場合もあります。
調節システムと
近視について
以下のような症状は「調節痙攣」や「調節過多」の可能性があります。
- 急に子どもの視力が低下した
- テレビなどを近くに寄って
観るようになった - 目を細めて見る
- 勉強時の姿勢が非常に悪く
目が近い
最近の子どもを取り巻く視環境は、スマホや携帯ゲーム機などの携帯デバイスの普及によって非常に厳しくなっています。長時間の近業作業を続けることにより、ピントの調節機能に過度の緊張を強いられ、不具合が生じるケースが多くなっています。
これらの症状は「調節痙攣」や「調節過多」などと呼ばれ、調節機能の不具合によって近視のような状態になります。
当院では、これらの症状に対して詳細な検査を行い、視機能トレーニングにより改善をはかります。
「子どもの視力低下」というと、近視になっているのではと考えがちですが、遠視・乱視などの屈折異常や、仮性近視(調節緊張調節)の場合もありますので、詳しく調べる必要があります。簡単な検査で近視と診断されても、実際は遠視や乱視であったりすることがあります。このような場合、正しい眼鏡やコンタクトレンズを処方しなければ、目が疲れて視力が不安定になることがあります。
当院では、子どもの視力低下に対して、眼疾患の有無確認のための眼科検査や視力検査のほか、近視や遠視の程度を判断する屈折検査、両眼の視線が目標に正しく向いているかを調べる眼位検査などを行います。調節緊張が疑われる場合には、「雲霧視力検査」と呼ばれる調節緊張を解除しながらの視力検査や、「スキアスコープ」を用いた他覚検査、調節麻痺剤点眼後の屈折検査などを行っています。調節緊張に対するケアでは、日常視環境の改善指導を行い、「フリッパーレンズ」を用いた視機能トレーニングを実施しています。
また、調節緊張は20代や30代でパソコン作業などの近業が急に増えた場合や、40代の老視初期に調節緊張によって一時的に近視化し、遠くが見えにくくなることがあります。このような場合も詳しい検査を行い視機能トレーニングなどを行います。
視機能トレーニングとは
視機能トレーニングとは、調節機能や調節機能や「輻輳機能」という眼を寄せる力など、両目をバランスよく使用するためのトレーニングです。
視機能トレーニングは眼の機能をトレーニングするもので、視力回復のトレーニングとは異なり、斜視や弱視、調節機能障害などに非常に有効な手段です。
視機能トレーニングの内容
- フリッパートレーニング
(調節機能改善トレーニング)
フリッパートレーニングとは、調節機能のトラブルである「調節痙攣(調節過多)」や「調節不全」などに対して、ピント合わせの力や効率を高めるために用いられます。
このトレーニングに使用する「フリッパーレンズ」とは、片側に調節機能の力を緩めるプラスレンズと、調節機能に刺激を与えるマイナスレンズが入っています。
40cm~50cmの距離にあるレターサイズの文字に、まずはプラスレンズを通してピントを合わせます。最初はぼやけて見えますがピント合わせが可能になると、だんだんとハッキリ見えてきます。ハッキリと見えるようになったらマイナスレンズで同様にピント合わせを行います。強制的にプラスレンズとマイナスレンズでピント合わせを行うことにより、調節機能を司る「毛様体筋」を刺激して整えます。
トレーニングは、基本的に1日1分間のトレーニングを5セット行うホームトレーニングを実施して、2週間から1カ月に1回程度の来院で状態をチェックします。
トレーニング例
14歳 女の子
学校からの「眼の受診すすめ」を持って来院
問診内容 | ・携帯ゲーム機 1日 2~3時間
・勉強時の姿勢が悪く目が近い ・授業中、近くから遠くへのピント合わせがうまくいかない。遠くがぼける。 |
初診時 | 右目(裸眼視力)=0.3(矯正視力)=弱度の遠視と乱視を認める
左目(裸眼視力)=0.2(矯正視力)=弱度の遠視を認める 屈折検査と他覚検査を実施した結果、調節緊張の疑い →調節機能を整えるために、フリッパートレーニング開始 |
4カ月後 | 右目(裸眼視力)=1.0(矯正視力)=弱度の遠視と乱視を認める
左目(裸眼視力)=1.0(矯正視力)=弱度の遠視を認める トレーニング終了 ※フリッパートレーニングは調節機能の改善トレーニングです。 視力回復トレーニングとは異なりますので近視などを治すことはできません。 |
視環境の改善提案
当院では、視機能トレーニングなどを実施して、お子さまの視機能の保護・育成に力を入れています。
調節系の視機能不良はトレーニングにより改善できますが、お子さまを取り巻く視環境が改善されなければ、同じ症状を繰り返すことがあります。
お子さまの視環境を改善し、より良いQOL(Quality Of Life:生活の質)を実現していただくために力を入れています。
視環境の改善提案例
勉強時の姿勢の改善
お子さまが机に向かい本を読んだり勉強したりするとき、眼や身体のさまざまな機能を使っています。特に、視覚的な影響は大きく、読み書きの際に両目が協調性を持って動かし、文字にピントを合わせ、文字を飛ばさぬよう目で追いかけるなどとても複雑な動きが必要です。姿勢が悪くて近くで物を見る癖がついてしまうと、だんだん背中が丸くなって猫背になってしまい、さらに文字を近くで見るという悪循環が起きることでしょう。
また、猫背は肩や首の筋肉に負担がかかり、緊張して血行が悪くなり視力を落とす原因になります。さらに、猫背は視覚機能の観点から見てもピント合わせ(調節)と眼を寄せる行為(輻輳)に大きな負担を与えるため、目の疲れにもつながります。この状態は文字の読み飛ばしや行飛ばし、語句の読み違えなどを誘発して、読み書きを嫌うようになり、落ち着きがない、勉強ができないと言った理由からADHD(注意欠陥・多動性障害)と間違われることもあります。姿勢を正して眼鏡を使用することによって、集中して勉強ができるようになったという例もあります。
近業時の理想の姿勢とは?
人が机に向かう時の理想的な姿勢は、足がきちんと床についた状態で、腿が水平に、膝下が垂直になり、背筋がピンと伸びた状態です。
しかし、人間は頭が重いため、平らな机で読み書きをすれば自然と一番重い頭部が前に傾き、頭を支えるために首の筋肉が緊張を強いられます。
また、視覚機能の観点から見ても、下方視の状態で正面視に比較して余分な外眼筋の動きが必要となり、目が疲れる状態になります。
ハーモンディスタンス
(The Harmon Distance)
エルゴノミクス(人間工学)のパイオニアであるドクター・ハーモンの研究では、眼と作業面までの視覚機能上もっとも適した距離は、その人の手の拳から肘までの距離だとし、多くの勉強時の作業環境は平面であり、視覚機能にも人間工学的にも問題があると指摘しています。
ドクター・ハーモンは、理想的な作業姿勢を維持して眼や身体の負担を軽減するためには、作業面に20~23°の角度をつけることが理想だと提唱しました。
人の手の拳から肘までの距離、作業面に20~23°の角度をつけることがハーモンディスタンスと呼ばれ視覚的に一番理想と考えられています。
スラントボード
お子さまの勉強時に理想的な視環境を維持・改善するため、当院では「スラントボート」と呼ばれる器具をご紹介しています。
スラントボードの特徴は、傾斜角度を22°に設定でき、30cm×45cmと手頃な大きさで、表面のクリーニングが可能です。
ペーパークリップ付きでスラントボードを使って、お子さまの視知覚などのトレーニングを行うことが理想的なので是非ご検討ください。